駄文の極み

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保険のセールスレディに学ぶWEBの文章術

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予め言っておくけど、僕は営業の実務をやったこともなければ、教育を受けたこともない。どちらかというと人と接する仕事から逃げてきたタイプの人間だ。

 

そんな奴が保険のセールスレディから良い点・悪い点などを学ぼうというのだから、そりゃあもう見当違いの方向にぶっ飛ぶ可能性が高い。モノホンのセールスマスターの方はそっと閉じて下さい。

 

それと、どこかの保険会社や特定のセールスレディに対して負の感情を持っているわけでは全くないです。あくまで学ぼうという姿勢。

 

さて、ある程度の規模の会社だと、会社内に保険のセールスレディが定期的に来たりする。

 

もう今は辞めたんだけど、前の会社では月曜と木曜のお昼時間に食堂の前に必ず彼女たちがいた。

 

若干気まずいが、さすがに昼食前には話しかけてこない。

 

だけどご飯が終わって出てくるとものすごい勢いで道を封鎖してくる。そういう教育を受けているのかどうかはしらないけど、とにかく何かしら話を聞かないといけない感じになる。

 

「お名前を教えてもらえませんか?」

 

教えればセールスを受けるのは間違いない。少しためらっていると、

 

「お名前だけでもなんとかなりませんか?」と。

 

中には、「名前だけでも聞いてこないと今日帰れないんです」とまで暴露系でくる人もいる。

 

そこで名前を教えるとどうだろう。

 

「あとお電話番号だけ教えてもらえませんか?」

 

電話番号を教えたらどうだろう。

 

「〇日の〇時か〇時ってご都合どうですか?」

 

こんな感じで畳みかけてくる。

 

お名前だけ、お電話番号だけ、というのは嘘だったわけ。

 

これからセールスをしてくる人が嘘つきだというのが分かって、快く申し込む人なんているだろうか?

 

新入社員のころ、この点に関してすごく疑問に思っていた。

 

ある時あまりにもしつこい人がいたので、この疑問を確かめるべくセールスレディのセールスを受けてみた。

 

セールスレディ:「〇〇さんの状況だと、このプランが最もあっていると思います。」

私:「なぜですか?」

セールスレディ:「〇〇さんと同じ状況の人がほとんど入っているからです。」

 

なんだか全く心に響かない。

 

理由が全く意味不明。この人にとって社会的証明の原理が理由だったのだろうか。

 

 

私:「他にも多くの保険会社があると思いますが、他社さんの製品も比べたうえでなぜこれが私に合っているか教えてもらえますか?」

 

 

ある会社に属しているセールスレディが、その会社の保険を売る必要があるというのは当然理解している。

 

ただ、多くの会社の保険商品があるのになぜ自社の保険商品が他社よりすごいと言い切れるのか、この方はその疑問に対する答えを持っていなかった。

 

普通なら僕もこんな嫌味な質問はまずしない。だけど、この人と出会って、「嘘つきだな」という印象から始まっているから、素直に受け入れることができないのだ。
 

 

色々な説明を受けた後、「今の話を聞いてやっぱり必要ないと思いました」と返答すると、

 

「私は旦那さんが生命保険に入らない方なんて受け入れられません。世の中のほとんどの女性はそうです!」と。

 

相当強い口調だった。

 

 

 

入社2年目の子だったはずなので、これから色々と学んでいくのかもしれない。
 

 

おそらく商品を売らないといけないというプレッシャーやストレスなどが凄いんだろうと思う。

 

 

この人がやったことは、いわゆる説得だった。
 

 

この数年後、私はこの会社の生命保険に加入することになる。

 

その時のセールスレディは、それまでの人たちと全く違っていた。

 

ご飯を食べた後、行く手を阻んだりしない。

 

「いつも同じ時間にお食事されるんですね。今日も一日頑張ってください!」

 

それだけで終わる。これまで話しかけてこなかったけど、僕のことはしっかり認識してるんだなというイメージになる。

 

そんなささいな声かけが何回か続いた。

 

その後、別の日、


セールスレディ:「なんか今日ちょっとお疲れみたいですけど、大丈夫ですか?」

 

私:「ちょっと子供と遊びすぎてね。月曜はしんどいね。」


セールスレディ:「素敵ですね。私もお父さんによく遊んでもらいました。また1週間ファイトですね!」

 

 こんな感じだった。

 

おそらくこの人の売り上げは初期はかなり少なかったと思う。

 

だけど、この人がその間にやっていたことは、

・自分を知ってもらう事

・相手の話を聞こうとすること

・信頼してもらうこと

 

だったのだ。

 

正直お昼ご飯の時間帯とはいえ、急いでいるし、昼以降の仕事のことで頭がいっぱいだ。

 

そんな時に畳みかけるように、「お名前を」「電話番号を」「ご予定を」と言われるのはきつい。

 

一方で、ちょっとした息抜きの会話をしてくれる存在はありがたい。

 

こちらの存在を気にかけてくれて、話を聞こうをしてくれるわけだから、少しずつその人への信頼は大きくなる。

 

もちろんどちらもセールスの一環なんだが、やり方としてはこっちの方が気持ちいい。

 

 

保険について相談するならこの人だなと思った頃、自分から話しかけてみた。

 

「ちょっと保険を考えてるんだけど、相談にのってくれない?」

 

もちろん快い返事だった。

 

 

そして、この人は僕のために物凄い調べてくれていて、膨大な情報の中から適切な情報を提供してくれた。

 

もちろん自社にとって都合の悪い情報でも、聞けば適切に教えてくれた。

 

僕はその中から自分なりに判断して、入る保険を決めた。

 

他社と比べて少しだけ値段で劣るように見える保険だけど、そのセールスレディの会社の保険を選んだ。

 

 

この経験を得て、「人なのだ」という事を悟った。

 

 

なぜ少し劣る保険に入ったのかを考えてみた。

 

 

これだけ調べてくれて不利な情報も教えてくれる。僕のために膨大な準備をしてくれて、こちらのためになる情報を正確に伝えてくれた。

 

ここまでやってくれたわけだから、大きく劣っていないこの方の会社の保険を選ぼうと思ったんだろう。

 

ここには返報性の原理が働いているんだと思うけど、「この人なら入ってもいいよ」と思わせる人の好さが間違いなくあった。

 

2人のセールスレディがやったことは大きく違う。

・一人は「客を説得した」

・もう一人は「セールスレディ自身のことを知ってもらい、少しずつ信頼を高め、客に適切な正しい情報を伝えた。判断は客がする。つまり納得させたのだ。」

 

 

誰しもどこかで自分は正しいと思っている生き物。信頼性の低い人に説得されても正直つらい。

 

受け入れられるのは、自分の中で信頼性の高い人からの説得のみな気がする。

 

逆にありがたいのは、膨大な情報を整理して正しく教えてくれる人。説得されて決めるより、自分で判断したいという気持ちがあるんだろう。

 

ましてやこれを信頼性の高い人がやればより効果は高い。

 

 後者のセールスレディはどんどん評判が良くなり、その人で契約したという話をよく聞くようになった。

 

 そして、僕が初めに抱いていたその会社への印象も良くなった。

 

 

この経験は文章を書くときに、大きく役立つ気がする。

 

どういう経路でWEBの文章が露出するかにもよるが、多くのWEB上の文章は読む人にとって知らない人が書いたもの。

 

そんな人に説得されたって心に響かないし、それをされるとどちらかというとマイナスな印象を持ってしまう。

 

だから僕のようなどこの誰だか分からない人が書くべき文章は、訪問者が知りたいことを的確にくみ取り伝えてあげることだろう。そして相手のことを考えていること、それがしっかり伝わる文章をかくことだろう。

 

特に検索ユーザーを対象にするのであれば、なんらかの意図をもって検索しているわけだから、その意識がより重要になる。

 

その上で、信頼を勝ち取るために以下にも気を付ける必要があると思う。

 

・どこから持ってきた情報なのか。掲載されている情報は正しいのか?

・一方的な偏った情報のみを載せていないか?正しく判断できるための情報になっているのか?

・分かりやすく読みやすくなっているのか?

 

 

WEBでも現実社会でも相手は人なので、結局のところ共通するものがある気がする。

 

誰でもかけてしまうWEB上の文章だからこそ、こういう当たり前とも思えることをやっている人が重要視されていくんだと思う。

 

 

 納得と説得。分かっていてもなかなか使い分けができないけど、これからも追及していかなければいけない。

 

人の部分を大事にして一歩一歩進んでいかないとだね。